事業用の定期借家(定期建物賃貸借)とは?普通借家との違い・終了通知・再契約を借主の立場で解説
定期借家(定期建物賃貸借)は、契約の更新がなく、期間の満了で確定的に終了する建物の賃貸借です(借地借家法第38条)。普通借家は貸主側に正当事由がなければ更新を拒めないのに対し、定期借家は期間が来れば終わり、続けて借りるには双方が合意して再契約します。当サイトに掲載中の事業用賃貸2,546件のうち、定期借家の記載があるのは447件(17.6%)です。借主にとっての要点は、内装などの投資を回収できる期間か、再契約の条件はどうか、中途解約の特約があるかの3つです。
定期借家と普通借家の違い
| 項目 | 定期借家(定期建物賃貸借) | 普通借家 |
|---|---|---|
| 契約の更新 | なし。期間満了で終了 | あり。貸主が更新を拒むには正当事由が必要 |
| 続けて借りるには | 貸主・借主が合意して再契約(条件は改めて決める) | 更新(法定更新を含む) |
| 契約の方式 | 公正証書などの書面(電磁的記録を含む)に限る | 口頭でも成立(通常は書面) |
| 契約前の説明 | 「更新がなく期間満了で終了する」ことを、契約書とは別の書面で事前に説明 | 特別な定めなし |
| 終了の通知 | 期間1年以上の契約は、満了の1年前から6か月前までに貸主が通知 | 更新拒絶の通知(期間満了の1年前から6か月前まで)と正当事由 |
| 借主からの中途解約 | 特約があればその内容による(居住用200㎡未満の例外は事業用には当たらない) | 特約による(期間の定めがなければ解約申入れから3か月で終了) |
事業用で定期借家が使われるのは、建て替えや再開発の予定がある建物、短期の募集、貸主がテナントの入れ替えを計画的に行いたい場合などです。借主にとって不利とは限らず、普通借家より賃料が抑えられていることもあります。大切なのは、期間の長さと再契約の見込みを、内装・設備への投資額と比べることです。
法律で決まっていること(借地借家法第38条)
- 書面での契約。「公正証書による等書面によって契約をするときに限り」更新がない旨を定められます(第1項)。電磁的記録による契約も書面とみなされます(第2項)。
- 契約前の書面による説明。貸主は、あらかじめ借主に「更新がなく、期間の満了により終了する」ことを記載した書面を交付して説明しなければなりません(第3項。借主の承諾があれば電磁的方法も可・第4項)。
- 説明がなければ普通借家扱い。貸主がこの説明をしなかったときは、更新がないこととする定めは無効です(第5項)。
- 終了の通知。期間が1年以上の場合、貸主は期間満了の1年前から6か月前までの間に、期間満了で終了する旨を通知しなければ、終了を借主に対抗できません。この期間を過ぎて通知した場合は、通知の日から6か月を経過した後に終了を対抗できます(第6項)。
- 中途解約の特例は居住用だけ。床面積200㎡未満の居住用建物で、転勤・療養・親族の介護などやむを得ない事情がある場合の中途解約(第7項)は、事業用の店舗・事務所には当てはまりません。事業用で中途解約したい場合は、契約書の特約がすべてです。
条文の要約です。実際の契約では契約書と事前説明書面の記載が優先します。判断に迷う場合は宅地建物取引士や弁護士に確認してください。
掲載データで見る定期借家の割合と条件
数字は当サイトに掲載中の事業用賃貸 2,546件(部屋単位)をビルド時に集計した値(金額は中央値)です。「定期借家」は募集条件に定期借家・定期建物賃貸借の記載がある物件を数えています。記載が無い物件を普通借家と断定するものではありません。店舗にも事務所にも使える物件は両方の行に数えるため、行の件数を足しても全体になりません。掲載物件の入れ替わりに合わせて自動で更新されます(最終更新 2026-10-10)。
| 用途 | 掲載数 | 定期借家の記載あり | 割合 |
|---|---|---|---|
| 店舗として使える物件 | 1,326件 | 282件 | 21.3% |
| 事務所・オフィスとして使える物件 | 1,722件 | 301件 | 17.5% |
| 倉庫・工場 | 197件 | 34件 | 17.3% |
| 貸地 | 52件 | 3件 | 5.8% |
| 用途 | 定期借家:賃料(税抜)の中央値 | 定期借家:初期費用の目安 | 記載なし:賃料(税抜)の中央値 | 記載なし:初期費用の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 店舗として使える物件 | 18.7万円 | 154.9万円 | 15.8万円 | 113.8万円 |
| 事務所・オフィスとして使える物件 | 16.3万円 | 131.9万円 | 12.5万円 | 86.0万円 |
| 倉庫・工場 | 24.0万円 | 164.8万円 | 14.0万円 | 85.3万円 |
事業用賃貸全体では、定期借家の記載がある447件の賃料(税抜)の中央値は17.8万円、初期費用の目安の中央値は150.0万円(総賃料の約6.9か月分)。記載のない2,099件では賃料13.0万円、初期費用87.7万円(約5.8か月分)です。保証金ありの割合は定期借家65.1%、記載なし58.3%、礼金ありは定期借家39.6%、記載なし34.3%です。物件の条件(築年・立地・面積)が違うため、定期借家だから安い・高いとは言えません。
定期借家の記載がある割合が高いエリア(掲載10件以上):名古屋市中村区 39.1%(59/151件)、名古屋市昭和区 35.7%(20/56件)、名古屋市東区 34.5%(38/110件)、名古屋市中区 31.9%(140/439件)、名古屋市熱田区 31.6%(12/38件)。
定期借家の記載がある物件の一覧から、用途やエリアで絞り込めます。
契約前に確認する5つのこと
- 期間と投資の回収。内装・設備・看板・開業費用を、契約期間内の売上で回収できるか。スケルトンで借りるなら特に重要です。
- 再契約の条件。再契約の意向があるか、賃料の見直しや再契約時の費用(礼金・手数料)はどうなるかを、書面で確認します。再契約は貸主の義務ではありません。
- 中途解約の特約。事業用には法律上の中途解約権がないため、「○か月前の予告で解約できる」「違約金は賃料○か月分」などの特約の有無と内容を確認します。
- 事前説明書面を受け取る。契約書とは別の書面で説明を受け、控えを保管します。説明がなければ更新がない定めは無効ですが、トラブルの元になるため最初から確認してください。
- 終了通知と原状回復の時期。満了時の明け渡し日、原状回復工事の期間(賃料がかかる期間か)、保証金の返還時期を確認します。退去時の費用は初期費用の記事で解説しています。
記載あり 447件
よくある質問
定期借家の店舗・事務所は期間が来たら必ず出なければなりませんか?
契約の更新はなく、期間満了で終了します。続けて借りるには、貸主・借主が合意して再契約します。再契約は貸主の義務ではないため、契約前に再契約の意向と条件を確認してください。
定期借家の終了通知はいつまでに来ますか?
期間が1年以上の契約では、貸主は期間満了の1年前から6か月前までの間に、期間満了で終了する旨を通知しなければ、終了を借主に対抗できません(借地借家法第38条第6項)。この期間を過ぎて通知した場合は、通知の日から6か月を経過した後に終了を対抗できます。
事業用の定期借家は途中で解約できますか?
居住用(床面積200㎡未満)のやむを得ない事情による中途解約の特例は、事業用には当てはまりません。事業用で中途解約するには、契約書に中途解約の特約があることが必要です。予告期間と違約金の有無を契約前に確認してください。
事前説明の書面がないまま定期借家で契約したらどうなりますか?
貸主が、更新がなく期間満了で終了することを書面で事前に説明しなかったときは、更新がないこととする定めは無効です(借地借家法第38条第5項)。ただし争いになりやすいため、契約前に書面の交付と説明を受けてください。
定期借家の物件は賃料が安いですか?
当サイトの掲載物件では、定期借家の記載がある物件の賃料(税抜)の中央値は17.8万円、記載のない物件は13.0万円です。物件の条件が違うため、定期借家だから安い・高いとは言えません。賃料より、期間・再契約・中途解約の条件で比べてください。
出典・参考
この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の契約条件は物件ごとに異なります。正式な金額・条件は空室確認のうえ担当エージェントが確認します。
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